選択肢が増えると人は幸せになれるか?

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多くの人が選択肢が増えることは自由度が増すことを意味し、人はその分幸せになれると思っているかもしれません。しかし、選択肢が増えることが必ずしも幸せにつながるわけではない、と米国の心理学者バリー・シュワルツ氏は説きます。

 

選択肢が増えることによる悪影響について、次の2つを指摘しています。

①無力感が生まれる:あまりにも多くの選択肢があると、人は選べなくなってしまい無力感を感じる。

②満足度が下がる:無力感に打ち勝って決断を下したとしても、選択肢が多いと選択肢が少ない場合と比べて自分が選んだ選択肢への満足度が下がる。

 

さらに、選択肢が増えることで満足度が下がる理由として、以下の3つが挙げられています。

《理由1》選んだ選択肢が完璧でなかった場合、選ばなかった選択肢のほうが良かったのではないかという後悔の念が生じる。

《理由2》選択肢が多いと、選ばなかった別の選択肢の良いところを想像することで、選んだ選択肢に不満を持つ度合いが高くなる。

《理由3》選択肢が多くなると完璧な選択肢があるはずだと期待値が増大し過ぎてしまう。

 

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人は得するより損することに敏感な生き物

次に紹介するのはプロスペクト理論です。これは米国の経済学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーによる行動経済学の理論です。その理論のなかに「人は意思決定の際に、得をするより損をしたくない思いの方が強い」というものがあります。

 例えば、「確実に100万円もらえる」(選択肢A)と、「10%の確率で何ももらえないが、90%の確率で500万円もらえる」(選択肢B)ではどちらを選ぶ人が多いでしょう?

 期待値を計算すると選択肢Aは「100万x100%=100万」、選択肢Bは「500万x90%=450万」となり、期待値では選択肢Bの方が高くなりますが、人は得するよりも損をしたくない生き物です。多くの人は選択肢Aを選択してしまいます。

人は損したくない生き物ですから、選択したことに対して、不満を持ちたくないし、後悔もしたくないのです。かといって、与えられた選択を鵜呑みにして受け入れると幸せになれるのかというとそんな事はありません。誰でも自分の意志で選びたいはずです。ではどうすればいいのか?

 

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おすすめするのは、選択の基準を設けることです。選択肢を瞬時に5択から3択程度に絞れるぐらいの自分の中での基準をつくる方法です。食事の場面でのおすすめの方法を紹介します。

例えば、イタリアンレストランなどで前菜が3種類、パスタが5種類とかで選ぶ場合はわりとすんなり決めることが出来ると思います。ところがパスタの専門店でパスタが15種類とかになると難しいですよね。選択回避の法則と言われていますが、人間にとって選択肢は3~5択ぐらいが適正でそれを超えてくると選べなくなるし選ぶのにとてもストレスを感じるということがわかっています。だから、瞬時に3~5択に絞れるような基準をひとつずつつくっていくことが大事です。

おすすめの基準の作り方は、「今まで食べたことのないメニューを注文する」という方法です。すると、よほど変わったメニューのお店でもなければ3~5択ぐらいには絞れるわけです。その後は、自分の直観でこれと思ったものを選ぶようにしています。

これにより、悩む時間も少なくなりますし、自分の決めた基準に沿って決めたという自由意志での決定だと感じることも出来るわけです。だから後で後悔することもなくすみます。

いつも選ぶ時に何かと悩んでしまうという方や、決めた後よく後悔してしまいがちな方は特におすすめします。すべての場面で基準をつくるのは難しいと思いますが、悩んだ時は基準をつくるということを考えてみてはいかがでしょう。是非参考にしてみてください。