【書評】長友佑都のファットアダプト食事法 カラダを劇的に変える、28日間プログラム

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2018FIFAワールドカップのロシア大会にて、長友佑都選手が次のワールドカップへの意欲を表明したことが話題になった。長友選手は、4年後には36歳。アスリートとしては、決して若い年齢ではないかもしれない。それなのに、このようなポジティブな発言ができたのはなぜか。「それは僕自身が肉体的にも精神的にも絶好調であり、ロシアでワールドカップに改めて魅了されたからだ」本書の冒頭で、長友選手はそう振り返る。

彼の絶好調の秘密は、食事にある。長友選手は2015年頃、スランプに苦しんでいた。思ったようなパフォーマンスができないだけでなく、怪我が多く、その回復に時間がかかってしまっていたという。だがヨガや糖質制限など、試行錯誤の末に「ファットアダプト食事法」にたどり着くと、スランプを乗り越え、心身ともに史上最高の状態をキープしているというのだ。長友選手を変えたこの食事法こそ、本書のテーマである。

アスリートの食事法だから、一般人には参考にならないのでは?そう考える方もいるかもしれない。だが本書を読んでみると、この食事法は、気軽に試せるだけでなく、一般人にもうれしいメリットが満載であることがわかる。「一流アスリートと同じ食事法を実践している」と思えば、体調だけでなく、気分も上向きになること間違いなしだ。

 

要点

  1.  長友選手は、アスリートとして決して若い年齢ではないにもかかわらず、完璧なコンディションを維持している。それは、ファットアダプト食事法を実践しているからだ。
  2. ファットアダプト食事法には、(1)筋肉の質が変わり、故障が減る、(2)精神的に落ち着ける、(3)ダイエット効果があるなどといったメリットが期待できる。
  3. ファットアダプト食事法を実践するにあたっては、(1)糖質の摂取量をコントロールする、(2)油脂(アブラ)に対する理解力を高め、良質な油脂を選ぶ、(3)たんぱく質を十二分に確保するという基本ルールを守る必要がある。

  

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ファットアダプトがもたらした絶好調

2018FIFAワールドカップのロシア大会にて、著者が所属する日本代表は、初めてのベスト8入りをかけてベルギーと対戦。逆転負けを喫した。試合の後、著者の口から出たのは次のような言葉だった。「また4年後のワールドカップを目指します」大きなショックを受けていながら、このようなポジティブな発言ができたのはなぜか。それは、肉体的にも精神的にも絶好調であり、またこの舞台に戻りたいと素直に思えたからだという。32歳という、アスリートとして決して若い年齢ではないにもかかわらず、完璧なコンディションを維持していたのだ。

その秘密は「ファットアダプト食事法」にある。これは、脂質(ファット)をエネルギー源として上手に使えるファット・アダプテーション(脂質適応状態)になるための食事法だ。糖質の摂取をコントロールして血糖値の乱高下を抑えて、良質のたんぱく質と脂質を積極的に摂る。著者は2022年のワールドカップを目指し、トレーニングと並行してファットアダプトに取り組んでいるという。

 

スランプと試行錯誤

著者が食事の重要性に改めて気づいたのは、インテルでプレーしていた2015年頃のことだった。その頃、著者のパフォーマンスは最悪だった。カラダが思うように動かないだけでなく、怪我が多く、その回復に時間がかかっていた。人一倍努力をしている自信があったので、トレーニングが足りないとは思えなかった。

そこで、食事に目を向けることにした。そのきっかけになったのは、世界一のテニスプレーヤーであるノバク・ジョコビッチ選手の本『ジョコビッチの生まれ変わる食事』だ。この本には驚かされた。ジョコビッチ選手の置かれた境遇が、あまりにも自分と似ていたからだ。彼は思うような結果が出せず、あらゆる方法を試していた。その結果、自分に合った食事法を見つけたのだ。この本にヒントをもらった著者は、さまざまな食事法を試すことにした。

まず、糖質制限を試した。ご飯もパスタもお預けにし、朝ご飯は茹で卵2個とスムージーのみとした。ところが、思うような結果は出なかった。練習を始めて1時間もすると頭がボーッとしてくる。試合をしていても、頭もカラダも動かない。糖質制限は、著者には合っていなかった。

 

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ファットアダプトがもたらす効果

本書では、ファットアダプトによるファット・アダプテーションで期待できる効果が紹介される。まず、筋肉の質の変化だ。著者のカラダを10年以上見ているトレーナーたちが、口を揃えて「筋肉の質が変わったね」と言ってきたのだという。どうしてファットアダプトによって筋肉の質が変わるのか。それは、良質なアブラを摂るようになったことで、細胞膜の脂質も良質なものに置き換えられたからだ。その結果、細胞膜の機能が高まり、筋肉の弾力や柔軟性が向上した。ファットアダプトを始めてからというもの、著者は一度も筋肉系の故障を経験していない。筋肉の質が変わったからだろう。

 

精神的に落ち着ける

ファットアダプトでは、血糖値を乱高下させないような糖質の摂り方をする。血糖値が乱高下すると、精神的に落ち着かなくなるからだ。ファットアダプトを行うと、脳に安定的にエネルギーが供給されるようになる。著者自身、頭がぼんやりすることがなくなったし、集中力もつねに高いレベルで維持できるようになったという。

以前は、ランチ後の昼寝が習慣だった。食事で血糖値が上がり、その後に下がりすぎていたからだろう。今は昼寝が必要なくなり、朝から晩までつねに頭が冴えている。だからファットアダプトは、仕事に集中したいビジネスパーソンや、試験や受験を控えた学生たちにもお勧めだ。

  

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ダイエット効果がある

ファットアダプトはダイエットにも有効だとされている。理由を2つ挙げよう。

1つ目は、過食が防げるからだ。ファットアダプトでは、糖質を適度にコントロールした分だけ、たんぱく質と脂質の摂取が増える。たんぱく質や脂質をしっかり摂ると、消化管から「もう満腹になったから、食べるのを止めていいぞ」というシグナルを出すホルモンが分泌される。だから、たんぱく質や脂質が多く摂れるファットアダプトに則した食事をしていると、自然に満腹感が訪れて過食に走ることがない。

2つ目は、血糖値の乱高下が抑えられるからだ。白いご飯やうどんや大福餅のように、糖質が多すぎてたんぱく質や脂質が少ないものを過食すると、血糖値は急上昇した後、分泌されたインスリンの作用で急降下する。血糖値が下がりすぎると、お腹はまだ満腹なのに、脳はエネルギーが足りないと判断して空腹感を促してしまう。その偽りの空腹感にダマされてしまうとまた何か食べたくなり、オーバーカロリーにつながるというわけだ。

一方、ファットアダプトでたんぱく質と脂質を摂ると食欲が正常化するから、お腹いっぱい食べても、活動で使ったエネルギーに見合った分にしかならない。

 

ファットアダプトの基本ルール

ファットアダプトのとくに重要な基本ルールを紹介する。まず、糖質の摂取量のコントロールだ。ファット・アダプテーションを起こすには、脂質を上手に使うために糖質を摂り過ぎないことがカギとなる。糖質と脂質はつねに一緒に使われる。その利用率は活動強度で変わる。通勤やデスクワーク、家事などといった日常生活では、活動強度が低いため、脂質がメインに使われている。日常生活で脂質を効率的に使えないと、余った脂質が体脂肪として蓄積されて肥満を招くため、脂質を効率的に使うことが一つのポイントとなる。

ファットアダプトを実践するためには、どんな食品に糖質が多く、それぞれにどのくらいの糖質が入っているかを把握しておくこともまた重要だ。たとえば、肉や魚や卵などのたんぱく源は糖質がゼロに近いため、血糖値を大きく上げない。野菜も糖質は少ないから血糖値を上げにくい。ご飯、パン、麺類などの主食も糖質が多い。ラーメン+丼ご飯といったダブル糖質のメニューは避けよう。

 

油脂(アブラ)に対する理解力を高め良質な油脂を選ぶ

次に気にするべきは脂質の摂り方だ。食べる脂質には、牛肉の霜降りや豚肉の脂身のような固形の脂と、植物油や青魚のような液体の油がある。これをまとめて「油脂」というが、本書ではこれを「アブラ」とする。

著者がとくに意識して摂っているのは、オメガ9脂肪酸オレイン酸)が豊富なオリーブオイルやアボカドとオメガ3脂肪酸が豊富な青魚、エゴマ油、アマニ油だ。オリーブオイルは、エキストラバージンタイプを選ぶ。

ファットアダプトでは、アブラを積極的に摂取することが勧められる。だが、どんなアブラでもいいわけではない。酸化した油と人工的なアブラは避けるべきである。酸化した油とは、揚げて時間が経った唐揚げやフライドポテトといった揚げ物だ。これらは、細胞や遺伝子を傷つける。人工的なアブラの代表格は、トランス脂肪酸だ。パンやケーキ、ドーナツなどに使われているマーガリン、ファットスプレッドショートニングなどがある。トランス脂肪酸の摂りすぎは、心臓病などの生活習慣病を招く。

 

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たんぱく質を十二分に確保する

ファットアダプトは、たんぱく質を十二分に確保することが重要だ。量だけではなく質にも目を向けたい。筋肉などのたんぱく質は、体内で合成されない必須アミノ酸が1種類でも欠けると満足に合成されないからだ。たんぱく質は、米や小麦など、幅広い食品に含まれている。しかし、食品に含まれるたんぱく質アミノ酸の組成には差があり、必須アミノ酸が足りないものもある。たとえば米と小麦は、必須アミノ酸のうち、リジンというアミノ酸が少ない。他の必須アミノ酸がふんだんにあったとしても、リジンが少ないと、たんぱく質は効率的に合成されないのだ。たんぱく質必須アミノ酸をどのくらい含んでいるかを評価する目安として、アミノ酸スコアがある。次に挙げる、アミノ酸スコアが高い5大たんぱく源をまんべんなく摂るようにしたい。

・肉類:牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉など

・魚介類:青魚、マグロ、カツオ、鮭、貝類、海老、カニなど

・卵:鶏卵

・牛乳・乳製品:牛乳、ヨーグルト、チーズなど

・大豆・大豆食品:ゆで大豆、豆腐、納豆、豆乳、味噌など

 

まとめ

アスリートでなくとも、「今が自分史上最高」と自信を持って言えるような状態を更新するべく、日々努力を怠らないようにしたいものだ。本書を手に取った方にとくにお読みいただきたいのは、第4章の「ファットアダプトの4つのサブルール」と実践編の「シェフが教えるファットアダプトの具体的なやり方」だ。ここでは、長友選手が実際に食べているメニューも掲載されている。

 

 

【書評】片づけ脳 部屋も頭もスッキリす

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私は片付けが苦手です。洋服、書類、本など、家に帰るとモノがあふれています。そして、片付けても綺麗な状態が維持できず、すぐに散らかってしまいます。どうにかして片付けられるようになる良い方法はないだろうかと思い、この本を手にとってみました。

 片づけられないのは、面倒でやる気が出ないから、あるいは整理整頓の能力が低いから。そんなふうに思っていないだろうか。1万人以上におよぶ脳画像診断を経験してきた脳内科医である著者によると、片づけられないのは「脳」のせいだという。脳のある部分が弱いため、「片づけられない脳」になっているというのだ。脳の働きを理解し、脳の弱い部分を鍛えることで、片づけができる脳=「片づけ脳」になれる。すると、片づけが得意になるだけでなく、会話が上手になる、観察力が身につく、集中力が上がるなど、実にさまざまなメリットがあります。本書では、脳の弱い部分を見つける方法から、脳を鍛える方法、脳に片づけを習慣化させるコツなどが、わかりやすく紹介されている。

 

要点

  1.  脳細胞が集まり集団になった場所は「脳番地」と呼ばれる。脳番地は、機能別に8系統に分類できる。それらは視覚系、理解系、運動系、思考系、記憶系、感情系、聴覚系、伝達系である。
  2. 脳番地のどこが強いか・弱いかは、人によってさまざまである。自分の脳のクセを見極め、弱い脳番地を鍛えることが「片づけ脳」を身につける第一歩である。
  3. 鍛える順番に迷うときは、運動系→視覚系→思考系→記憶系の順番にトレーニングをするとよい。

 

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片づけられないのは脳のせいだった

脳は人間にとって大事な器官である。人間の感情や思考、行動など、あらゆることが脳の働きに委ねられている。そのため、片づけにおいても、脳がいかに「片づけよう」と働くかがカギとなる。脳には、さまざまな役割が与えられた、1000億個以上の神経細胞が存在している。同じような働きをする細胞が集まり、基地のようになった場所を、著者は住所のように「脳番地」と表現している。

 

脳に弱い部分があるから、片づけられない

これらの脳番地のどこが強いか・弱いかは、人によってさまざまである。どの脳番地が弱いのか、自分の脳のクセを見極めることが「片づけ脳」への第一歩となる。思うように片づけられない原因をたどると、それは脳の使い方のクセ、脳の弱い部分が引き起こしている。

 

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「片づけられない脳」を鍛える脳番地トレーニン

8つの脳番地

脳番地は、機能ごとに次の8系統に分類できる。

 

1.視覚系を鍛える

視覚系脳番地:目で見たことを脳に伝える脳番地。ここが衰えていると、見た情報を正確に処理できない。よって、部屋が散らかっていても、それが視覚情報としてインプットされず目に入らない。

 現代では、スマートフォンの使い過ぎにより、眼球の動きが減っている。これにより、視覚系脳番地が弱ってしまう。視覚系脳番地を鍛えるためのおすすめの方法は、「風景写真を撮ること」である。風景は視野いっぱいに広がるイメージであるため、撮影時に、よいアングルを探そうとして、あちこちに目が動く。これが眼球運動につながり、凝り固まった眼球を柔軟にしてくれる。

また、「人の表情を見ること」もよいトレーニングとなる。具体的には、家族や同僚など、身近な人の表情や顔色をうかがうとよい。日頃から周囲の人の表情を見ていれば、「楽しそうだな、いいことがあったのかな」「体調が悪そうだな」と、変化に気づきやすい。これが視覚系脳番地の発達につながる。

 

2.理解系を鍛える

理解系脳番地:物事や言葉を理解することに関係する脳番地。与えられた情報を理解し、自分を客観視する能力にも関係しており、好奇心によって成長する。また、空間認知にも関係している。この脳番地が弱いと、「どう片づければいいかわからない」という状況に陥ってしまう。

理解系脳番地は、他の脳番地から情報を集めて、現在の状況を理解し、次のアクションを決めるうえで重要な場所である。理解系脳番地を鍛えると、片づけができるだけでなく、会議の議論の理解や複数の仕事の進行も上手になっていく。

理解系脳番地を強化する方法の1つは、「部屋のレイアウト図を書いてみること」である。片づけでは、部屋の広さを把握してオーガナイズしなければならない。そこでメモ帳などに、家や部屋の間取り図を書いてみるとよい。さらに、間取り図の中に、今置いている家具などの配置図を書き込んでいく。紙に書くと、どこにどのくらいスペースがあるか、何がどこに置いてあるかを改めて認識でき、理解系脳番地が鍛えられるのだ。

もう1つの方法は「趣味や立場が違う人とつきあうこと」である。「私はこうだから」と凝り固まるのではなく、さまざまな人、情報と接することが、理解系脳番地の成長を促す。ポイントは旺盛な好奇心をもって生活することである。

 

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3.運動系を鍛える

運動系脳番地:体を動かすことに関係する脳番地。この脳番地が弱いと、動くことがおっくうになり、片づけるのも面倒に感じてしまう。

運動系脳番地を鍛えるのにおすすめなのは、「床に落ちているものを数えながら拾うこと」である。拾うという行為は意外と体を使うので、それだけ運動系脳番地も鍛えられる。利き手と反対の手で拾えば、より効果的である。そのほか、いつもより歩幅を広げてスタスタ歩く、会話を増やして口の周りの筋肉を動かすというのも、運動系を鍛えるトレーニングとして有効だ。

 

4.思考系を鍛える

思考系脳番地:物事を深く考えたり、判断したり、集中力を高めたりする機能が集まっている脳番地。脳の司令塔といえる。この脳番地が弱いと、自分で自分に指示が出せず、物事をすぐには決められない。片づけの基本である「ものの場所を決める」ことが、なかなか実行できなくなってしまう。

思考系脳番地は判断力と結びついているので、判断する機会を意識的につくることが絶好のトレーニングになる。たとえば、外食でメニューを選ぶ際には、「瞬時に決める」とよい。これを繰り返すことで判断力が高まっていく。また、ものを「処分する基準」をもつことも有効だ。処分に悩む代表格といえば、洋服、手紙や年賀状、本や雑誌である。これらを処分する基準を自分で決めて、その基準に従って瞬時に判断していけば、思考系脳番地が鍛えられる。

 

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5.記憶系を鍛える

記憶系脳番地:情報を蓄積する脳番地で、覚えたり思い出したりすることに関係する。知識と感情の連動で強化される。記憶系が弱いと、元にあった場所が思い出せない。

 記憶系脳番地を鍛えながら片づけもできてしまう。そんな最良の方法が「アルバムの作成」だ。アルバムは自分自身のこれまで生きてきたプロセスの集大成である。当時を思い出しながら残したい写真を選ぶことは、片づけ脳になるためのよい刺激となる。また、過去の出来事を思い出し、「懐かしい」という感情が芽生えてくれば、感情系脳番地にもよい刺激となる。

 

6.感情系を鍛える

感情系脳番地:喜怒哀楽といった感情を表現する脳番地。死ぬまで成長し続ける。この脳番地が弱いと、片づけを他人に任せがちになる。

 感情系脳番地を育てるには、わくわくした気持ちをもつことが効果的だ。具体的には、「卒業アルバムから写真を選んで飾ること」がおすすめである。昔の写真や卒業アルバムを見て、子ども時代、青春時代を思い出してみる。すると、ほほえましかったり、気恥ずかしかったりして、感情が揺さぶられる。この感情の揺さぶりこそ、感情系脳番地を活性化させるポイントである。よい思い出を部屋に飾ると、その周囲もきれいにしたくなる。よって、部屋を片づけるきっかけにもなるのだ

 

7.聴覚系を鍛える

聴覚系脳番地:耳で聞いたことを脳に集める脳番地。ここが弱いと、聞いたことを受け止められず、忘れてしまい、行動できない。挙句、片づけも面倒になってしまう。

聴覚系脳番地を鍛えるには、「聞き取ろう」という意志が重要となる。効果的なトレーニングの1つは、「ラジオを聴きながら家事をすること」である。その際、音楽のように聞き流すのではなく、ちゃんと内容を聞き取ろうとする必要がある。

 

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8.伝達系を鍛える

伝達系脳番地:コミュニケーションに関係する脳番地。家族に「片づけて」と言っても、家族が動いてくれないなら、コミュニケーションの仕方に問題があるのかもしれない。

伝達系脳番地を鍛えるには、「他人の家の片づけをまねてみる」とよい。「いいな、私の家もこうしたいな」と思う家を見たら、帰宅後すぐにまねをしてみる。伝達系脳番地は、人のまねをするときに刺激されるのだ。

 

脳によくない習慣を見直す

レーニングを実践して、片づけを習慣化させることで、「片づけ脳」になり、それを維持しやすくなる。そこで大事なのが、脳によくない習慣を見直すこと、気軽に片づけを行う仕組みを取り入れることだ。

脳にとってよくない習慣とは、「睡眠不足」「スマートフォンの過度な使用」「体を動かそうとしないこと」である。「睡眠不足」の状態では脳が覚醒しづらい。ぼんやりしたままでは、片づけはおろか、家事も仕事も中途半端に終わってしまう。そして、「スマートフォンの過度な使用」を続けていると、視野が狭まり、会話が減っていく。これが運動系脳番地、伝達系脳番地、聴覚系脳番地を弱体化させてしまう。

最後に、「体を動かそうとしない」という状態の背景には、「面倒くさい」という思いがある。これに対処するには、意識的に「面倒くさい」と思う回数を減らすとよい。脳番地をしっかり機能させないと、片づけだけでなく、他のこともできなくなってしまう恐れがあるのだ。

 

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片づけを習慣化できる仕組みを取り入れる

次に大事なのが、気軽に片づけを行う仕組みを取り入れることである。たとえば、早寝早起きを実践し、朝起きてすぐに片づけをする「朝片づけ」も効果的だ。朝にスッキリした状態をつくると、あらゆる物事がうまくいく。

また、1週間の片づけをメニュー化して、1週間の片づけリズムをつくるのも手だ。月曜日は1週間の片づけのプランニング、火曜日は「火」を使うコンロや台所まわり、水曜日は水まわりなどとメリハリをつければ、片づけが生活の一部になりやすい。

 

まとめ

「たかが片づけ、されど片づけ」。片づけがテキパキできる人ほど、心に余裕ができ、やるべきことをテキパキとさばける。仕事のパフォーマンスを上げ、ストレスフリーに生きたいと考える方にとって、本書は必読の一冊である。片づけ脳を身につければ、机も頭の中もスッキリする。「片づけ脳」が運を引き寄せ、人生を明るく照らしてくれるはずだ。片づけ脳になれば、「会話上手になる」「テキパキ行動できる」「お金が貯まる」「認知症を予防できる」など、実に多くのメリットがあります。

 

 

スピリチュアルでエネルギーを高める方法

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スピリチュアルと健康の関係性

世界的に注目されている“スピリチュアル”ですが、健康効果だけでなく、人が幸福感を感じることとスピリチュアルの関係も証明されています。WHO(世界保健機構)では、健康についての定義として『身体的健康』『精神的健康』『社会的健康』を挙げ、さらに『霊的健康』を挙げています。つまり、スピリチュアルが健康に影響し、健康維持に有効だとしているのです。

『身体的健康』『精神的健康』は動物の本能とも言える部分であり、『社会的健康』は自分が認められたいという欲求を満たすことで得ているものです。『霊的健康』に関しては、現代人は使っていない脳の部分として“前頭前野=スピリチュアル脳”を挙げ、活性化するためには自己実現の欲求を満たすことが重要だとしています。

自己実現とは、“自分は何のために生まれてきたのか”“自分の価値は何なのか”“自分は人の役に立つ”ということを知ることで、そのことにより生きがいを以て人生を生きることができ、霊的健康を得ることができるということを示しています。つまり、霊的健康すなわちスピリチュアルによって得られる健康があるということをWHO(世界保健機構)によって認められたということです。

霊的健康を得た人は、エネルギー数値が高いことが証明されており、健康指数が高いということも分かっています。世界的に有名な企業ほどマインドフルネス(瞑想)を職場に取り入れ、仕事の効率を上げる効果を既に得ています。最も注目すべき健康効果に、幸福感に満ちた脳が最も活性化するという点です。

さらに、これまで使われていなかった脳の部分が活性化することで、①ストレスに強くなる、②発想能力が生まれる、③悩みを解消する、などの様々な力を引き出すことが期待できます。

 

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エネルギーの重要性

アメリカでは『スピリチュアルヘルス』という言葉が生まれ、魂の健康に注目しています。祈りや瞑想、ヒーリングなどを通じて実践され、健康効果を上げているようです。スピリチュアルの観点では、エネルギーが高い人と低い人がいます。人はパワフルに行動し、目的や目標を達成するためには、エネルギーが必要となります。

知識やノウハウがあり、運や環境に恵まれていても、エネルギーが不足していては達成が難しいでしょう。エネルギーは自動車のガソリンと同じ意味があり、目的地まで走りぬくためには絶対に必要なものだと言えます。

例えば、人間ウォッチングをしていると、テンションが低く、世の中から心を閉ざしているのが見える人がいますね。このような人は、理由は何にせよ、世の中と関わるエネルギーが不足している状態であることが考えられますので、エネルギーが低い人でしょう。

逆に、見るからにエネルギッシュで自分が満たされている様子が分かる人もいますね。このような人は、やはり生きているエネルギーが高い状態でしょう。エネルギーの高い人は見た目の印象だけでなく、パワフルに目的を達成し、健康状態も良く、円滑な人間関係を築くことも可能です。

同じ1回きりの人生なら、高いエネルギーで存分に生きたいとは思いませんか。では、エネルギーを高めるためには、どうしたら良いのでしょうか。魂が・・・。宇宙が・・・。など様々な定義がありますが、そこまで考えて理解しようとするより、まずはご自身の意識を変えてみましょう。

エネルギーはフォーカスを当てると大きなパワーを発揮することができます。『エネルギーは注ぐポイント』『エネルギーを注ぐ方向』をしっかりと意識することです。注意力散漫では、エネルギーも散漫になってしまいます。

 

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自分に意識を向けて集中する

現代人は携帯電話にパソコン、外へ出ればここ30年で一気に増えた自動車が行き来し、目に入るもの耳に入るもの全てが刺激と言っても過言ではありません。また、SNSの反応を気にしたり、希薄な人間関係を広く持っていることなど、気になることも非常に多くあります。これでは、何かを得ようにも集中力を持つことが難しいでしょう。

結果的に低いエネルギーで生きていくことになり、ダラダラと無駄に低いエネルギーを使い、さらに悪循環となってしまうのです。大切なのは集中することです。本来持っているエネルギーを一気に高めるためにも、目標を定めて期限を決め、一点に集中してエネルギーを使うのです。そうした生活を続けることで、当然ですが自分自身の中に常に高いエネルギーを持つことが可能となります。

さらに、呼吸や体の動き、思考や心に意識を向けることです。自分自身が生きていることを大切に思い、自分に意識を向けることで、自分自身がエネルギーを必要としていることを実感することができるでしょう。

 

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スピリチュアルと医療

では、スピリチュアルにおける健康を得ることができれば、医学的な健康状態を維持することができるのでしょうか。スピリチュアルでは、様々な体の不調にもスピリチュアルな原因があるとしています。しかし原因があるとは言え、スピリチュアルな原因だけで不調を来たすわけではありません。

例えば、同じ作業をしていても、「急に肩こりしやすくなった」や「風邪をひきやすくなった」ということがあるでしょう。スピリチュアルな原因があることで、“なりやすくなる”ということが言えます。では、医療における治療とスピリチュアルには、どんな関係があるのでしょうか。病気やケガの治療には医療の力が必要です。

ここでスピリチュアルなエネルギーが高い人と、スピリチュアルなエネルギーが低い人とでは、その治療効果に大きな差があることが分かっています。“病は気から”という言葉がありますが、その“気”を「気持ちの持ちよう」と捉えている方が多いようですが、“気”はエネルギーのことです。

 

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波動の高い食品とは?

人の健康には、食事の話しは欠かせないものですね。スピリチュアルな意味においても、食事は非常に重要なものとなっています。食品にもそれぞれ波動があります。波動が高い食品を食事に取り入れることで、高いエネルギーを得ることができるでしょう。食品の中でも、野菜・海藻・果物・豆類は高い波動を持っており、積極的に摂りたい食品だと言えます。ただし、新鮮で衛生的でなければいけませんし、こればかりを食べていてもエネルギーを高めることはできません。バランスは重要ですし、摂り方にも気を付ける必要はあるでしょう。

 

 

稼ぐ社長の気になる時間術

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人に与えられた時間「1日24時間」は皆同じです。1兆円を稼ぐ社長は、一般の人に比べ大変忙しく働いているはずです。一般の人と時間の過ごし方がどう違うか気になりませんか?時間の使い方は人によってマチマチで、それが収入にもかなり影響しているはずです。果たして1兆円を稼ぐ富裕層は、一般の人と時間の過ごし方がどう違っているのだろう。独特な時間術が巨万の富を築く秘密になっているかもしれない。

 

1兆円稼ぐ社長の時間術について

年に1兆円稼ぐ社長の時間術を紹介します。1兆円を超えるようなレベルの売り上げを作っている社長はどのような時間の使い方をしているのかということをハーバード大学が調べてくれています。

私達が1兆円規模の社長になることはないかもしれませんが、参考になる点はあると思いますので紹介させてもらいます。優秀な社長について調べた、研究や論文は結構ありますが、今回は、実際に1兆円レベルの収益があるトップ企業の社長がどのように時間を使っているのかということを解説させてもらいます。

 

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1兆円稼ぐ社長の労働時間は

Harvard Business Reviewで紹介されている研究で、27人のCEOを対象にした研究です。ほとんどの方が平均で年に130億ドルもの収益を上げています。この研究では、CEOの方々の1日の行動を15分刻みで記録しています。さらに、それを12年間も続けて約6万時間ものデータを集めています。

その結果分かった事としては、平日の労働時間としては平均して9.7時間働いていて、週の平均労働時間は62.5時間でした。平日の労働時間のうちの79%を経営に関して使っていて、さらには、休暇の最中にも7割程度は経営のことを考えたりビジネスの対応をしていたということです。

そして、53%の社長は自宅や旅先など会社以外の場所でも仕事をすることがあったということです。別の研究結果では、週に30時間以上働くと脳の機能が低下するとか、週に40時間を超えると死亡リスクも高まるということがわかっています。

このような意味では、優秀な社長の方々は身を削って働いているわけです。ですが、このような凄い能力を持っている社長の方々は、もっと収益を上げることができるでしょうし、そんなに働かなくても利益を上げることも可能でしょう。つまり、この社長の方々が何に時間を無駄にしているかということも見えてきます。

 

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労働時間のほとんどを会議に使っている

具体的にどのようなことに時間を取られているのかということも調べられていて、なんと会議の数がとても多いということです。会議の数は週に37回、全体の労働時間の72%を会議に使っています。会議の時間や質というものは社長毎に違いはありますが、総労働時間の72%もを会議に使っているということです。

さらに、労働時間の61%は対面の会議で人と会うために使われていました。ですから、無駄な会議というよりは人脈のために会議を使っていたということです。そして、15%は電話や書類の確認や整理に使われていました。24%はメールや SNS でのコミュニケーションに使われていました

つまり、CEOはコミュニケーションをとることや人を動かすための人脈を作ったり整えることに多くの時間を使っているということです。人を望む方向に動かしたりする能力や権力を持っている人を束ねる能力が、このレベルの社長が持っている一番の能力だと言えます。

 

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プライベートの時間は?

ちなみに、どれぐらい休めているのかというと、1日の間にリラックスできる自分の時間はおよそ2.1時間だったそうです。その時間はネットフリックスを見たり自分の趣味や読書に使っていたということです。睡眠時間は平均で6.9時間で、運動時間は1日に45分確保されていました。

ここから言えることは、こんなにも忙しい社長でも、1日に2.1時間はリラックスする時間をとって本を読むことなどに費やしていて、睡眠時間は約7時間、運動に45分確保しているということです。このぐらい毎日運動していないと、疲れやすくなってしまい集中力やパフォーマンスは持たないはずです。

労働時間のほとんどを会議に使われているのはびっくりですね。皆さんもこのような社長ほど忙しい人はいないと思いますので、毎日自分のためにリラックスする時間と睡眠と運動の時間をしっかり確保するようにしたほうがいいと思います。

 

 

スピリチュアルと健康効果について

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昨今、世界的に注目されている“スピリチュアル”ですが、健康効果についても証明されています。また、健康効果だけでなく、人が幸福感を感じることとスピリチュアルの関係も証明されています。ハーバード大学がスピリチュアルの効果を認めてしまったという研究があります。日本のスピリチュアルと海外のスピリチュアルでは意味が違いますが、ここで言うスピリチュアルとは、宗教や引き寄せの法則と言われるようなスピリチュアルです。

 

スピリチュアルの効果

結論としては、スピリチュアルでなくても結構です。宗教やスピリチュアルな何かを信じきっている人は、そうでない人よりも寿命が長く健康なのではないかというデータが出たものです。約33%も寿命が伸びるとされています。寿命が延びるということは、体内の炎症も少なく健康的で人生の満足度も高いということにつながります。

1992年から2012年までの20年間にわたり、74534人の女性の健康データを使ったものです。4年に1回全員に対して、月に何回教会に通っているのかということを尋ねて、その後の死亡率を追跡しました。日本で教会というとキリスト教のイメージで一括りにされますが、アメリカではキリスト教にも色々な宗派がありクラシックなものからヤバイものまで様々で、それらを含めて調べられたものです。ちゃんとした宗教だけでなくキリスト教の考え方をベースにしたスピリチュアルなものも含まれています。

喫煙・飲酒の習慣、BMI、収入、年齢、学歴などの寿命に影響を与える可能性がある様々な要素は調整した上で調べられています。その結果、週に1回のペースで礼拝に通っていた女性は、そうでない人に比べて、その後16年間の追跡により、死亡率が33%も低かったということが分かっています。しかも、4年以上定期的に通っている人は、なんと死亡率が45%も減っていました。ここで、やはり宗教って素晴らしい、スピリチュアルとはいいもの、信じる人は救われる・・・と終わらないのが、科学者の面白いところです。

 

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寿命が延びる原因は?

寿命が延びた原因を調べています。信仰により長生きができるという研究は他にも色々とありますが、理由としては2つあります。

1. 人間関係が良くなる

2. タバコを吸わない

宗教的な礼拝に頻繁に通う人や特定のものを信じている人は、死亡率が明確に下がっています。その原因を調べたところ、定期的に礼拝に通うことで、会社や家庭以外の人間関係ができます。コミュニティが純粋に多いということが、まず一つの原因です。人間関係の充実感というものが健康に影響を与えています。さらに、何かを強烈に信じていて信心深い人は、優位に喫煙率が低いということも分かっています。人間関係が健康や寿命にとって大切だということは様々な研究でも判明していますし、タバコを吸うことで寿命が縮むということは明確ですので、この2つが原因だと考えられます。

ここまでだと推論になってしまいますが、この研究では、宗教やスピリチュアルを信じている人の寿命の延びの原因のどれぐらいを、人間関係とタバコを吸わないことが占めているのかということまで調べています。

結論としては、寿命が延びる理由の23%を人間関係が占めていて、22%をタバコを吸わないということが占めています。人間関係とタバコを吸わないということだけで、宗教やスピリチュアルによって寿命が延びる理由のおよそ半分が説明可能だということです。

 

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大自然や偉大さに触れてみる

結論としては、人間関係を充実させてタバコを吸わなければ、スピリチュアルの人たちが得られる健康メリットは得ることができるということです。

スピリチュアルなコミュニティやセミナーなどに通っている方が、メンタルも安定するし仕事も安定していると思っている場合は、別にそれを否定はしません。お金を払ってでもコミュニティは手に入れていた方が絶対にいいものです。あきらかにメンタルへの良い効果をもたらしてくれます。

ちなみに、他に寿命が伸びる要素としては、大自然に触れたり偉大さに触れることがあります。人間は自分の力をはるかに超えるものや人知を超えるものに対して畏敬の念を抱きます。それにより炎症が落ち着くという研究もあります。人間はちっぽけなものだと感じるような畏敬の念を持つようなことをするといいと思います。

人間関係を充実させるコミュニティをもち、タバコを吸わず、畏敬の念も時折、感じるように、旅行をするときは都会ばかりでなく大自然に触れるようにするといいのではないでしょうか。

 

 

【書評】天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

 

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著名人、芸術家、クリエイターのライフスタイル、働き方には、以前から大変興味がありました。良い作品を生み出すための秘訣やベストな環境はあるのか?働き方はどうか?息抜きを効果的にはさめばよいのか、それともぶっ通しで集中するのがよいのか。朝型がよいのか、夜型がよいのか。多くの働く人が共通して抱くものだと思われる。

どんなふうに予定を立てれば、最高の仕事ができるのだろう。迫りつつある締め切りを前に、仕事に身が入らなくてこまった著者は、他の人の仕事ぶりを調べてみることにした。そうして書きはじめたブログが本書のもとになった。

本書では、クリエイティブな仕事で偉大な成果を残した天才たちが、毎日どのように働き、どんなことを習慣にしていたのかにスポットを当てる。その数、なんと161人。ピカソベートーヴェンヘミングウェイフロイトなどなど、なじみ深い芸術家や研究者の名前が並ぶ。

著者は、本書を通してそうした問いに答えるつもりはない、としながらも、「すばらしい成功を収めた多くの人々が同じ問題に直面したことを、実例として紹介するように努めた」という。さまざまなタイプはあれど、どの天才もその人なりに仕事に立ち向かってきたのだな、ということが意外な親しみをもって感じられる。日々どんなふうに働くか、その答えは各々模索する必要があるとしても、「さて、今日もがんばるか」という気持ちにさせられる1冊である。

 

要点

  1.  天才たちの仕事の背景にあるライフスタイルには、数かぎりないバリエーションがある。不摂生をして仕事にのめりこんだり、独特の習慣でメリハリをつけたり、規則正しくすることで仕事がはかどる効果を狙っていたりする。
  2. とてもまねできないくらい勤勉にパワフルに仕事をした人も、インスピレーションがわくまで苦しみぬいて時間を浪費した人もいるが、多くの人は天才といえどもその中間で努力していたようだ。

 

フィンセント・ファン・ゴッホ【画家】

オランダ出身の画家、ゴッホ。彼はとりつかれたように仕事をするタイプだった。創造的なインスピレーションに突き動かされて休むことなく絵を描き、ときには食事も忘れてしまうほどだったという。生涯にわたってゴッホを支えた兄テオへの手紙の中で、ゴッホは、午前七時から午後六時まで仕事をして、その間、動いたのは一歩か二歩の距離に置いてある食べ物を取るためだけだったと記している。また、手紙にはこうも書いてあったという。「毎日は、仕事、仕事で過ぎていく。夜にはへとへとになってカフェへ行き、そのあとはさっさと寝る! 人生はそんなものだ」

 

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オノレ・ド・バルザック【作家】

バルザックは自分を追い込むように、過酷なスケジュールで仕事をした。午後六時に軽い夕食をとって眠り、午前一時に起きて机につく。そこから七時間ひたすら書きまくる。午前八時になると、一時間半の仮眠をとり、さらに九時半から午後四時まで仕事。午後四時からは、散歩、風呂、客対応。そして午後六時からはもう一度同じことの繰り返しだ。仕事の間、バルザックはブラックコーヒーを飲みまくる。一日に五十杯のコーヒーを飲んだともいわれているそうだ。

 

ジャン・ポール・サルトル【哲学者】

サルトルは、仕事は、「午前中に三時間、夕方に三時間、それが私の唯一の決まりだ」というふうに言っていたが、怠けていたわけではない。仕事のほかには活発な社交をこなし、豪華な食事と大量の酒、タバコとドラッグを摂取した。

標準的な一日の過ごし方は、アパートで正午まで働き、会合に一時間ほど出かけた後、パートナーのシモーヌ・ド・ボーヴォワールと、共通の知人とともにランチ。ランチで赤ワイン一本を飲みほしたという。午後はボーヴォワールと仕事をする。寝つきが悪かったサルトルは、睡眠薬を飲んで二、三時間眠った。

過労と睡眠不足、ワインとタバコの過剰摂取でぼろぼろのサルトルは、そのうえ、仕事のペースを維持するために当時まだ合法だったコリドランというドラッグに頼った。朝と正午に一、二錠ずつという規定の服用量を大幅に超えて、サルトルは一日二十錠も飲んだ。一錠ごとに、『弁証法的理性批判』を一ページか二ページ書けたのだという。それほどまでに、自らの哲学体系をかたちにしたかったのだ。

 

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イマニュエル・カント【哲学者】

めちゃくちゃなやり方で仕事の成果を追い求める者もいれば、その逆もまたいる。カントの人生、特に40歳を過ぎてからの人生は、規則正しさそのものだった。カントは骨格に先天的な欠陥があって虚弱だったため、長生きできるように、また健康のことを気に病みすぎないように、生活にある種の画一性を必要としたのだ。

朝は午前五時に起き、執筆をして、大学で午前十一時まで講義をする。昼食を食べた後は、散歩に出かける。ハインリヒ・ハイネによると、「近所の人々は、カントが灰色のコートを着てスペイン製ステッキをもって玄関から出てくると、ちょうど三時半だとわかった」というくらい、すべての行動の時間はきっちりと決まっていた。生まれ故郷の町からめったに外へ出ず、生涯独身を貫き、地元の大学で同じ教科を四十年以上教えたという。

 

村上春樹【作家】

長編小説を書いているときの村上は、日課を規則正しくこなす。そのことが創作の役に立っているのだという。午前四時に起きて五、六時間仕事をし、午後はランニングか水泳、もしくは両方をする。雑用をこなし、本を読み音楽を聴き、午後九時に寝る。

そしてこの日課を毎日繰り返す。繰り返すことで、「一種の催眠状態というか、自分に催眠術をかけて、より深い精神状態にもっていく」と『パリス・レビュー』で語っている。デビューまではタバコを一日六十本も吸い、不摂生をしていた村上だが、生活習慣を変えるため一念発起し、妻とともに田舎へ引っ越し、健康的な食事をすることにした。毎日のランニングは二十五年以上続いているという。この習慣の欠点は、人づきあいが悪くなることだ。しかし、村上は人生において大事な関係は読者との関係だと考えている。作品を良くすることが、「作家としての僕の義務であり、もっとも優先すべき課題だろう」と村上は語る。

 

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チャールズ・シュルツ【漫画家】

アメリカの漫画家シュルツは、人気キャラクター、スヌーピーの登場する『ピーナッツ』の連載で知られている。彼は、五十年近くのあいだ、一万七八九七話におよぶ新聞連載をアシスタントなしで書きあげた。これを実現させるため、シュルツもやはり規則正しく働いた。

一日七時間、週に五日間が、『ピーナッツ』のために捧げられた時間だった。平日は早起きし、子どもたちに朝食を食べさせ、学校まで送っていく。その後自宅横のアトリエで仕事にとりかかる。昼食はたいていハムサンドとコップ一杯の牛乳で済ませ、子どもたちの帰ってくる四時ごろまで創作を続けた。こうした仕事のスタイルはシュルツの性分に合っており、生涯抱えていた不安症もやわらげられた。

 

セーレン・キルケゴール【哲学者】

散歩は思考にリズムを与えるのか、散歩を日課にしていた天才たちの数は少なくない。デンマークの哲学者、キルケゴールの一日は、執筆と散歩で構成されていた。午前中に執筆し、午後はコペンハーゲンを長々と散歩した。散歩から戻ると、また夜まで執筆をする。散歩中にすばらしいアイデアが降りてくるらしく、帰宅して帽子も脱がずに、机の前に立ったまま書き出すこともあったという。

また、彼の独特のコーヒーの飲み方は特筆に値する。伝記作家のヨアキム・ガーフによると、まずキルケゴールはうれしそうに砂糖の袋を傾け、コーヒーカップの中に縁より高い砂糖の山をつくる。そこへとびきり濃いコーヒーを注ぎ入れ、白い山をゆっくり溶かしてから一気に飲んだそうだ。

 

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ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン【作曲家】

ベートーヴェンの朝は、コーヒーから始まった。一杯のコーヒーにつき、豆は必ず六十粒でなければならなかった。きっちり正確を期すために、豆を一粒ずつ数えることもよくあったという。

それから机で二時か三時まで仕事をし、昼食後、日中の残りの時間のほとんどを散歩に費やした。ポケットにはいつも、鉛筆を一本と、五線紙を二、三枚入れていて、曲が思い浮かぶと書きつけた。散歩は作曲に役立ったらしく、おそらくそのせいで、ベートーヴェンはあたたかい時期により多くの曲を作った。

日暮れには居酒屋へ寄ったり、友人と過ごしたりして、夜は音楽の仕事はあまりしなかった。そして、遅くとも十時にはベッドに入った。

 

エリック・サティ【作曲家】

サティはパリのモンマルトル地区に住んでいたのだが、1898年には郊外の町アルクイユに引っ越した。それなのにほとんど毎朝、パリのもとの家までの十キロ近い道のりを散歩したのだという。服装は独特で、栗色のビロード地のスーツと山高帽を毎日着ていた(同じものを一ダースずつあつらえた)。地元の人々は、彼を「ビロードの紳士」と呼ぶようになった。

パリでサティは友人の家に寄ったり、カフェで仕事をしたりした。夜はキャバレーでピアノを弾いて少々の金を稼ぐか、もしくはカフェめぐりをして酒を飲んだ。アルクイユ行きの最終列車にはしばしば乗り遅れ、その場合は家までまた十キロの道のりを歩いた。それでも、次の日の朝にはまた十キロ歩いてパリに向かった。

研究者によれば、サティの音楽の「反復の中の変化の可能性」を尊重するところなどは、「毎日同じ景色のなかを延々と歩いて往復したこと」に由来するのではという見解もある。

 

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アーネスト・ヘミングウェイ【作家】

ヘミングウェイは夜明けの時間をとても大切にしていた。前の晩に酒を飲んでいたとしても早起きで、午前五時半から六時ごろには起きた。成人してからはずっとそうだったという。『パリス・レビュー』のインタビューで、ヘミングウェイは早朝の時間について語っている。執筆中の作品の種類に関わらず、「毎朝、夜が明けたらできるだけ早く書きはじめるようにしている。だれにも邪魔されないし、最初は涼しかったり寒かったりするが、仕事に取りかかって書いているうちにあたたかくなってくる」。そして、「まだ元気が残っていて、次がどうなるかわかっているところまで書いてやめる」。正午くらいか、あるいはもっと早くに、切り上げた。

ヘミングウェイは、立って執筆した。本棚の上にタイプライターと書見台を置き、はじめは紙に鉛筆で書き、うまく書けるとタイプライターでの打ち込みに切り替えた。そして、ヘミングウェイは、書いた語数を毎日、表に記録していたそうだ。「自分をごまかさないためだ」という。「執筆という厳かな義務」、とヘミングウェイは言っていた。執筆がうまくいかないときは、気分転換に手紙の返事を書いた。

 

グレン・グールド【ピアニスト】

グールドは、バッハの演奏で知られる、カナダ人のピアニストだ。彼はエキセントリックな天才という評判を自ら助長しているふしもあったが、その素の姿は確かにエキセントリックそのものだった。健康を異常なほど気にして、ばい菌を恐れ、電話の相手がクシャミをしただけで、ぞっとして電話を切ってしまったこともあるという。また、とても非社交的で、誰かと親しくなりすぎたと思うと急に関係を絶った。

グールドは自ら、夜型生活を送っていると語っている。「日光があまり好きではないからだ。じっさい、明るい色はどんな色でも気分を落ち込ませる」という。午後遅くに起きて、いくつか電話をかけて、それで目を覚ます。その後、カナダ放送センターで雑用をこなすか、レコーディングがあればセンター内のスタジオで午前一時か二時ごろまで仕事をした。レコーディングがないときは自宅アパートで本を読んだり音楽を聴いたりするが、ピアノの練習は一日一時間か、それより少ないくらいしかしなかった。午後十一時になると友人たちにまた電話をかけ、二十四時間営業のレストランで食事をし、午前五時か六時に鎮静剤を飲んで床についた。

 

まとめ

本書ではシンプルにずらりと、天才たちの名前が並ぶ。気になった人の仕事そのものを、改めて味わってみようという気持ちにもなるかもしれない。本書は、仕事に向かう前向きな気持ちと、たくさんの楽しみを与えてくれるだろう。

 

 

友達が多いと本当に幸せなの?

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20代の時は、人脈を広げたり友達を増やすことに必死でした。友達は多い方が、人生が充実して幸せになると思っていたし、コミュ力も高そうに見えていました。30代、40代となり人間関係が窮屈になり、ストレスを感じるようになって、周りを気にするのを止めるようにしました。するとストレスもなくなり、好きな人だけと会うようになり、人間関係もスムーズで楽になりました。

そして、いろいろ調べた結果、友達が多いから幸せになるとは限らないということがわかりました。しかも、自分のライフステージによって友達が多い方が良い場合とそうじゃない方が良い場合があります。

 

友達は数ではなく質が大事

多くの人は、友達が多い人を見ると羨ましいと思って友達を無駄に増やそうとしてしまいます。その結果余計な人間関係を抱えてしまい、しかも往々にしてそういう人は真面目なので一度交友をもったら関係を維持しないといけないと考え無駄な付き合いもやり取りも増えてしまいます。

友達は数ではなく質です。そういうと、質を手に入れるためにはまず数も必要だと言う人がいますが、疲れてしまいますよね。私の場合は仕事と趣味の境界線がないので、一緒に仕事ができる友達と結構仲良くなることが多いです。仕事というよりは一緒に何かを目指したり問題を解決するテーマを求める友達が良いなと思います。つまり、お互いにお互いの人生の目的の一端を担い合う関係が本当の友達だと思っています。私としてはそう思っていますが、それが正しいのか?実際はどうなのか?調べてみました。

 

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友達多いと幸せなの?

ロチェスター大学の研究からご紹介します。今幸せかどうか?ということはなかなか判りにくいものです。少し面倒に感じていても、いざ友達と会って一緒にいると楽しいと感じたり、楽しい関係のはずなのに終わってみると何故か楽しくなかったりする時もあるかと思います。この違いは何なのだろうかと考えたわけです。

行きつくところ、結局人生として幸せになれる友達とはどんな条件なのかと調べてみたらロチェスター大学が面白い研究をしていました。ロチェスター大学は、50歳の時点での幸福度は何で決まるのか?特に人間関係や友達関係の何処で決まるのか?ということを調べています。すると、なんと、50歳時点での幸せ、つまり長期的にみた場合の幸せは20代と30代の時の人間関係・友達関係で決まっていたということがわかっています。

この研究では、100名の若者の幸福度を30年間にわたって追跡調査しています。調査を始めたのは1970年代で20代30代の人たちに日々の生活や友達との関係、人生に対する満足度などを調べました。その後30年間の追跡調査を経て全員に科学的な心理テストを行いました。幸福度・孤独感・うつ傾向・友達関係・友達の質といった項目をチェックしました。

その結果、20代の時に友達が多かった人は50歳の時に幸福度が高まっています。これはなんとなく想像の範囲かと思いますが、20代で友達の数が多くて30代で友達の数が大きく減っている人たちは50歳時点での幸福度はより高かったという結果が出ています。さらに30代でも友達の数が多い人というのは50歳の幸福度が下がっていました。

つまり、20代の時に友達が増えると幸せにはなれますが、30代では質が大事になるということです。20代では色んな人と会って30代で友達の質が絞られてくると、自分の人生の目的に適った人間関係が出来て、そこから一緒に大きなプロジェクトに取り組んだり自分の人生に向き合うことが出来るようになるので、結果として人生の質が高まっていくということです。

 

  • 20代では量が大事
  • 30代以降では質が大事

 

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ライフステージに合わせた友達関係

人は人生の初期段階(10代・20代)において自分の知らない知識をできるだけ多く手に入れたほうが人生の質も上がり可能性も広がりますから、20代では色んな人と幅広く付き合ったほうが良いです。30代になると人生の目的も徐々に見えてきます。そんな見えてきた時期に無駄な社会的関係や行動を整理し始めて、時間を何に使うのか?労力を何に使うのか?自分の能力は誰のために使うのか?誰と付き合うべきなのか?といったことを精査していくことでより凝縮された人間関係をつくることが出来るようになります。これが晩年の幸せをつくってくれるということです。

30代になっても友達がとても多い人、あるいは、20代も30代も友達が少なくて質も高まっていない人は、意味が深い人間関係をつくれていない可能性が高いといえます。実際、友達とたわいない話をしても楽しめるのは10代、20代ですが、30代以降は深い話や議論が生まれるような内容の話をできる関係の方が結果的には幸せになれます。

20代の頃は量を追い求めてもいいけれど、たくさんの人と出会った後はそれを失うことを恐れざす絞っていかないと、自分の人生の目的が見えなくなってしまう、あるいは見えていない可能性があるということです。ですから、皆さんの人間関係を見ることによって皆さんが人生に目的を見いだせているのか?自分を幸せにしてくれる目的を持てているのか?ということが見えてくるわけです。

 

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ポイントを押さえて人と付き合う

人脈があって誰とでも繋がれるという人も確かにいます。ですが、こういう人も人間関係が飛び抜けて多いというわけではなかったりします。人間関係の繋がりの豊富な人と繋がっているだけだったりします。ですから、僕のまわりにもスーパーコネクターのような人がいますし、この人に相談したらどんな人でも紹介してくれるような人もいます。ですが、この人達もハブになるような人との人間関係を持っていて、このジャンルなら◯◯に相談すれば誰か紹介してくれそうということを知っている人です。

つまり、人脈の多い人や人間関係を使うのが上手い人であってもたくさんの人とずっと付き合っているわけではないということです。人間関係の上手い人というのはポイントを押さえている人ということです。ポイントを押さえて凝縮させているから人間関係にかけるコストは少ないにもかかわらず多くのメリットを人間関係から得ることが出来ているわけです。

皆さんも、人間関係について今一度見直してみると良いのではないかと思います。