人はなぜ怒ってしまうのか?怒らない技術とは?

仕事中に「マジ切れ」する日本人が増えている、ちょっと意外な理由

 

私はフリーランスで働いているため、基本は一人で仕事することが多いので、人間関係でストレスを感じることは少ないのですが。

先日、年下の20代の男性と仕事する機会がありました。普段から、若い子に対しては上からではなく対等に接して、できるだけ話を聞くよう努力はしていましたが、ちょとした態度や、行動がいろいろ気になりだしてしまったのです。

 

 世代の違いなのか、価値観の違いなのか、徐々にイライラして 一緒に仕事した20代の男性に対して、注意、指摘することになり、結果怒ってしまいました。その場の雰囲気は気まずく、自分の気分、感情だけでイライラしてしまい、大変申し訳ないことをしてしまったなあと、その後、大変後悔しました。どうにか、怒らないで、済む方法はないかといろいろ調べてみました。

 

 どうやら、最近の日本のビジネスパーソンは、起こりやすい傾向にあるようです。

「同僚の仕事ぶりが気に食わない、上司が理不尽だ、部下が生意気だといった理由で、仕事中にイライラするビジネスパーソンが増えている」

「自分の思い通りに物事が進まない時に、それを受け入れることができず、感情的になってしまう人も多い」

 

つい切れてしまう上司、言いい返す部下

 

 例えば部下がミスをした時に、理論的に注意をしたり、再発防止策を講じたりするのではなく、つい“切れて”しまう上司は多いです。怒る際は「なめているのか」「なぜ仕事ができないのか」「何度言えばできるのか」といった刺激的な言葉を使いがちです。そのため、怒られた部下が納得できずに言い訳や反論に転じ、言い合いに発展したり、ショックを受けた部下がメンタル不調に陥ったりと、さらなる問題につながってしまいます。注意をした上司がパワハラを行ったとされ、処罰や退職を余儀なくされたり、部下が会社をやめてしまったりするケースもあります。

 

日本のビジネスパーソンは、なぜこれほどまでにイラつきがちなのでしょうか。

イラつくビジネスパーソンが増えている、ちょっと意外な理由

 

①かつての日本企業は人材が均質で、育った環境や学歴などが比較的似ている社員が同じ職場に集まっていました。現在はそうではなく、違った国や環境、文化で生まれ育ち、異なる価値観を持った人々が同じ組織に在籍することが普通になっています。そのため、議論をしてもかみ合わず、『隣に座っている人の考えが理解できない』という怒りにつながりやすい。

 

②人材が流動的になっており、1つの会社に数十年間勤め上げてきた上司が『今の会社は腰掛けで、3年たったら転職したい』と考えている新卒の面倒を見るケースが出てきたといい、「長期的な視点からアドバイスをしても響かないなど、価値観の違いからお互いにイライラを感じてしまうようだ」とみています。

 

③歴史的な面については、「島国であり単一民族である日本は、古くから集団の中で異質な存在に弱いのです。現代も根本は同じで、『いろんな人がいていい』という意識を持った人が少なく、仕事ぶりや性格が変わっている人は、反感を持たれやすいのです。

 

 

イライラしない、怒らない技術とは?

 

①イラっとした際に反射的に怒鳴ったり手を上げたりせず、ぐっと我慢し、心の中で6秒数えるというもので、「多くの人は6秒あれば理性的になれる。感情に支配された状態から脱出し、理性によってコントロールできる自分へと変われる」といいます。怒りの感情は6~10秒程度しか持続しないものなので、そのわずかな時間だけ何も考えないようにしてみましょう。そうすれば、怒りの感情は自然と静まっていくはずです。昔からよく言われる「怒りを感じた時は、心の中で10数える」という言葉には、心理学的根拠があったのです。

 

怒りを鎮めるためには「深呼吸」も効果的です。腹式呼吸でゆっくりと息を吸い、ゆっくりと吐き出します。これを何度か繰り返すと、気持ちがスーッと落ち着いていくものです。では、なぜ深呼吸によって気持ちが落ち着くのか。それは、副交感神経の働きが改善されるからです。人間の自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は緊張や興奮を、副交感神経は安心や安らぎをもたらしています。怒っている時は、交感神経の働きが強まり、副交感神経の働きが弱まります。このタイミングで深呼吸することにより、交感神経の働きが弱まり、副交感神経の働きが強まっていきます。すると怒りがおさまり、気持ちが落ち着きます。

 

③「リフレーミング」は、怒らないで生きていくために有効な手段です。たとえばお客さんからクレームをつけられたとき、「どうして、こんな言いがかりをつけられなくてはならないんだ。本当に頭にくる」と感じる人もいるでしょう。これはネガティブ思考の枠組みにはまった考え方です。これをリフレーミングすると、「お客さんから、いいご意見をいただいた。お客さんの意見を参考に改善していけば、もっと良い商品やサービスを提供できるようになるだろう」といったふうにとらえられます。そうすれば怒らずに済み、仕事もうまくいくはずです。

 

あえて争わない、言い返さない、言い返さない人が、心安らかに生きていける

「売り言葉に買い言葉」ということわざがあります。誰かに悪口を言われた時、ついカッとなってひどい言葉で言い返してしまえば、口ゲンカがエスカレートしていってしまうものです。だが、カッとなっても言い返さないほうが良いのです。そうすれば無意味なケンカを避けることができるからです。無暗に人と言い争うより、何かを言われても言い返さないほうがずっと賢明です。人とケンカしても、何の得にもなりません。怒ってしまえば、結局自分が嫌な思いをすることになります。だから「口ゲンカはしない」と決めて生きていくほうが賢い生き方だといえます。「よっぽどのことがない限り言い返さない」と、自分の中で決めてしまうことです。

 

機嫌のよしあしで叱るのはやめましょう、判断基準を明確に

また、部下の礼儀作法の不備やミスなどで、どうしても注意せざるを得ない場合は、叱る基準を明確にしつつ、伝え方を工夫することで、トラブルを防ぐことができます。部下が同じ失敗をした場合に、自分の機嫌がいいと許し、機嫌が悪いと怒っている上司は、判断の軸がブレており信頼されません。判断基準を明確にし、許せない行為があった場合にのみ『こういう理由で間違った行動だから、直してほしい』と端的に伝えるべきです。仕事で怒る目的はストレス発散ではなく、相手に要望を伝えることだと忘れてはいけません。

 

注意する際は、『なぜできないのか』と責めることや、『昔から言っているけど』と過去を持ちだすのもNGです。『どうしたらできると思う?』と未来に目を向けたほうが部下のモチベーションは上がります。『そのやり方は絶対だめ』『必ず失敗する』といった決めつけや、『しっかりやれ』『きちんとやれ』といった抽象的なアドバイスも反感や混乱につながるので、避けた方がいいです。

 

怒られる側は「事実」と「思い込み」を分けて聞くようにすること

 

一方、注意を受ける側の部下も「事実」と「伝える側の思い込み」を分けて話を聞くことで、上司に反感を持ったり、イライラしたり、落ち込んだりするケースを防げます。例えば、部下がミーティングに遅れて参加した場合に、上司が「遅刻をするなんて社会人失格だ!」と怒ったとします。この場合は、「遅刻」という失敗をしたのは事実、「社会人失格」という評価は上司の思い込みに分類できます。

 

遅刻はいけないことだが、それ以外の面では高いスキルを備えているかもしれません。上司に『社会人失格』と言われたからといって、『自分を否定された』とイライラしたり、『自分はダメ人間だ』と落ち込んだりする必要は全くないのです。遅刻したという事実だけを捉え、しっかり反省し、改善すればいいのです。

 

日本の社会のイライラを減らすには、人々が価値観を根本的に変えることも大切です。

多様性を許せる価値観を持ち、自分の意見を他人に押し付けず、他人の意見を柔軟に受け入れられる人が増えてほしいと思います。仕事の目的は成果を挙げることや、幸せになることです。周囲の人に勝つことや“なめられない”ことではない、ということを忘れないでほしいです。